平成31年2月15日、緩和ケア萬田診療所院長・萬田緑平先生の講演会が『最期まで目一杯生きる〈人生の最終章を楽しく生きる緩和ケアの方法〉』と題して行われました。
緩和ケアに興味のある方、親せきで、友人で、と身近に病と闘っている人に対し何ができるか、どうしたら正解なのか悩みを抱えている方、自分の最期を考えてという方等、沢山の方が興味を持ち、何かにすがる思いで参加されていました。
<先生の伝えたいこと①>
・本人の意思を徹底的に支援する。
家族の望みや医師の勧めで人生の最終章が決められているのでは?
本来、医療は本人の為のものです。人生最終章のシナリオは自分で書いてもらいましょう認知症の方にも意思はあります。死なない設定のシナリオは失敗します。
(例) 透析患者が家に帰りたいという。本人の意思通り家に帰そうとすると、家族からの反対にあう。
しかし、自宅に帰りお風呂に入ると笑顔で歌をうたいだす姿が見られた。
普段歌をうたうことはなかったので皆、うれしくて泣いたという。
本人から「ありがとう。すまないねぇ。」と言葉があった。病院ではできないことができ、家族は「こんないい結果になって本人も大満足だと思う」と家族も満足されていた。
<先生の伝えたいこと②>
・医療に頼れば上手くいくわけではない。
体のために…あなたのために…と治療すればよいのかを考える。
(例) 家に帰りたいと言っていた方が病院では意識がなくなるが、自宅に帰ると意識があり好きなたばこを吸うことができた。訪問入浴では笑顔も見られた。
その後数日間の命だったが再び笑顔を見ることができ、家族も満足そうであった。
*余命より長く生きると奇跡というが、予測が外れただけ。急変というが、予測できなかっただけ。
<先生の伝えたいこと③>
・人生をずっと好きにさせてもらってきたのに、人生の最期は選ばせてもらえない。
・人生の最期も自分で選ばせてもらいたい。
(例) 食事ができない人が退院。妻が支えるという。妻の食事なら食べられると思うと自宅へ戻り、妻と笑顔で過ごす。見た目は元気そのもの。2日後に亡くなる。
(例) 体はボロボロなのに最後に3泊4日の旅行をし、翌日亡くなった。
共通するところは、見た目はとても元気そう。笑顔があり幸せそうに見える。本当は体はボロボロなのに、心を支えてもらっているので元気に見える。
生きていて良かったと思える。ぎりぎりまでよい状態でいることができる。
・恐ろしい病気が流行っているわけではなく、老化していってるだけ。
どんなに頑張っても一日一日老いていく。頑張った人ほど急にガクッとくる。
<先生の伝えたいこと④>
・親への感謝は生きているうちに伝えること。
日本ではお墓に入ってから感謝を述べるという風習があるが、親が生きているうちに腹を割って話し、感謝の気持ちを伝えることで、親孝行ができる。夫が亡くなった後「来世の約束までできた」と喜ぶ妻。
腹を割って最後まで話をすることができたから。
何度お聴きしても考えさせられる講演でした。みなさんハンカチで目を抑えていました。
今の気持ちを忘れず、今後の介護ケアの仕事に生かし続けていきたいと思います。誠にすばらしいご講演本当にありがとうございました。